陰鬱

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自分という人間

僕のことをそんなに褒めてくれて、僕は本当に嬉しい。家族くらいにしか、自分は優しい人間だとか言われたことはなかった。どちらかというと、僕は学校では虐げられ馬鹿にされ続けの人生なので、こう心から僕のことを褒めてくれると嬉しいのです。

なにか人のために尽くしても、なかなか感謝されないものです。不登校になった友達に手紙を送ったり、一緒に遊んだりしても、今は僕と関わることはないし、奴だって、レポートとか色々と献身的に手助けしても、嫌味を言われたりするのです。

僕はもちろん、奴のことは親友だと思います。一年くらい一緒に活動してきましたから、お互いぶつかり合うこともあるのです。けれども、僕はそいつのことを親友までにしか思うことはできないのです。本当にかけがえのない人は、もちろん君なのです。

僕は決して善意だけの人間ではないのです。馬鹿みたいな嫉妬はするし、人のことを馬鹿にしてしまう所もあるし、倫理観も欠如している。人の不幸な話を聞いても大して心が揺さぶられないし、僕の善意は単なる救世主思想に他ならないだろう。でも、僕は人に優しくありたいと思う。そして、かけがえのない君に対して、僕は信じられる人間でいたいと思うのです。


僕は生まれて間も無く、忌まわしきアトピー性皮膚炎になった。赤ん坊の頃はもう傷まみれだった。僕はそれと同時に数々の未来ある何かを失ったけど、なんとかそれを補償するものを神は授けてくれた。それが母親の献身的で犠牲的な愛情であった。

痒みに苦しみ眠ることの出来ない僕を、母親は三日三晩寝ずに看護してくれた。母親は、今はもう無くなってしまった家のソファに座って、まだ小さな僕を抱きながら、離れずに看護した。そのせいで、母親は椎間板ヘルニアを患った。軟骨が変性し、組織外に髄核が飛び出てしまう病気で、腰に恐ろしい激痛が走るもの。母親は僕の面倒を見る限りに、眠ることもできず、身体を壊してしまった。しかし、僕はその分の愛情を、まだ何も知らぬ純真たる心で受け取ったと思う。その後も、僕はよく甘やかされたから、今になって僕はだらしの無い人間になったと思う。けれども、僕はそれらの愛情を以て、本当に人に献身的に尽くすことが幸せとなった。

そして、もう一つ僕の今ある人格に影響を与えたのが、馬鹿らしいかもしれないが、「ひぐらしのなく頃に」の主人公の前原圭一という男だった。そいつは、割と変態で無頓着な人間だが、それを覆い隠すほどの男気に、俺は惚れた。「運命だなんて、あきらめたらそこで終わりなんだからな」「見てろ。この程度の運命なんざ、俺がプチッとぶち壊してやるぜ!」一見したら非常に薄っぺらくて、明るすぎて気持ち悪い名言だ。

しかし、漫画やアニメを見れば、その言葉に重みが出てくる。同級生の仲間たちが殺人を犯したり、敵側に居たり、そいつらに殺されかけたりと、まあ滅茶苦茶なんだが、どんな逆境に居ようと、諦めずに立ち向かう前原圭一の姿にはもはや美徳さえ感じられる。そして、仲間がどんな人間であろうと、決して裏切らずに信じ続けるその姿勢に、僕の心は熱くなった。とにかく、仲間思いなのだ。多少の疑心暗鬼になりながらも、仲間を信じ続ける確固たる精神を、僕は見習おうとした。

だから、僕は人を見捨てることはできないし、裏切ったり決してすることはない。僕は、みんなを信じたいと思う。だからといって、僕を信じてくれとも言わない。でも、もし辛くてどうしようもない時があったら、言って欲しい。僕はもう自分のあらゆるものを犠牲にしてでも、助けに行く。多少の犠牲はいつかは元に戻るのだから。母の椎間板ヘルニアが治ったように。