陰鬱

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なぜ人は苦しみから抜け出せぬか2

②重い精神疾患を患っている

その人間がどの精神疾患を患っているのかも、苦しみから抜け出しにくい要因となる。

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偏に精神疾患と言っても、その重さや症状によって分類が異なる。

神経症水準②境界例水準③精神病水準の三つに分かれる。この水準に該当しないものは、健常である。上の図で言うと、下から上にいくほど、難治性であり、現実生活も送ることが難しく、自殺にも繋がりやすい。自我も弱くなっていき、現実検討力も低下する。

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神経症水準とは、ノイローゼとも呼ばれる。自我や現実検討力に関して健康であることが知られている。図に載っているような精神疾患が挙げられる。不安障害や強迫性障害パニック障害など。特に強迫性障害パニック障害は目に見える奇異な症状を呈することもあるが、薬物療法認知行動療法を受けることで比較的治りやすい。自然治癒することも少なくはないが、早期に対策することは重要である。特に、強迫性障害は来院までに非常に時間がかかることが分かっており、自己愛性的な側面も有しているため、若干厄介な場合がある。他にも、恐怖症や心気神経症(病気ではないかと不安になる)などもある。私は強迫性障害,パニック障害,心気神経症などの症状を呈したことがあるが、どれも神経症水準であり、比較的治しやすかったのだなと思う。現に、今は殆ど治った。

境界例水準は、俗に言うパーソナリティ(人格)障害である。神経症水準の精神疾患のように、特徴的な目に見える症状を出すわけでは無いが、奇異なパーソナリティから、対人関係において難を示しやすい。根本的な人格に関わるものであり、これに効く!といったような心理療法も少なく、更なる研究が待たれる。現実検討力や自我も低いため、無茶苦茶な行動をとったり、自傷に走ることも多い。しかし、妄想や統合失調型のパーソナリティ障害でない限りは、上手く付き合いながら生活していくことも全然可能である。また、年齢を経ていくにつれて、寛解していくことも知られている。

精神病水準は、現実検討力も自我もほぼ崩壊している。統合失調症も破瓜型、緊張型、妄想型など三つのタイプがあるが、どれも現実を曲解してしまう。面白いのは、妄想型が一番予後が良いとされている。一応、コミュニケーションも取れるし、活動的だからだ。他の二型はどちらも日常生活もままならないような状態になる可能性がある。うつは、もはや動けない状態になる。また、動けるような双極性障害(躁鬱)であっても、自殺率はトップレベルである。

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神経症水準の精神疾患心理的側面が強い。要するに、大きなストレスや負荷が掛かることで、精神疾患を発症する訳だが、ストレスや悩みさえ取り除けば、治るのである。

逆に精神病水準は生物学的側面(要するに、遺伝しやすく、脳の異常に依るところが大きい)が大きく、投薬を受け、根気よく治療しないと治らない。脳の機能異常を根本的に改善することは、現代医学では不可能である。だからこそ、治しにくいのである。うつ病は、心というよりも、脳の病気と呼ばれることも多い。また、発達障害も生物学的側面が大きい。よって、完治は不可能だが、心理療法や訓練によって抑えることは可能である。


どの水準で、どういう側面を有した精神疾患を患っているかで、苦しみから抜け出せる難度も異なる。境界例水準や精神病水準は、もはやストレスを取り除いた所で、良くなるとは限らないのである。そこが厄介なのである。神経症水準は、ストレスを取り除くだけでも、十分良くなるのである。一定のストレスがかかることで、元々の脆弱性(精神病の罹りやすさ)を刺激し、精神疾患を発症するのだ。(ストレス素因モデル)

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そもそも、元々の脆弱性さえ無ければ、言い換えれば、先天的な脳の機能異常さえ無ければ、精神疾患になることはない。生まれながらに、我々の運命は決まっているのだ。そして、いかに脳にダメージを負っていて、いかに、ストレスフルな経験をしたかで、神経症なのか境界例なのか精神病なのか決まるのである。精神病水準の人間が、そう簡単に苦しみから逃れられないことは自明である。