陰鬱

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愛は救いか

日頃死にたがってる奴がいる。今日は精神薬を30錠飲んだらしい。いつもロープで首を絞めている毎日らしい。もう奴と関わって一年になる。共に千葉市で引きこもり支援を始めた。引きこもりがちな人間が集まる居場所的なものを提供しようと試みたのである。しかし、人も集まらず、数々の諍いも生じ、無事破綻した。だが、我々の努力は無駄ではなかっただろう。
そんなこんなで春休みはお互い自由に過ごしていた。僕も長期休み特有の孤独感や諸々の感情に支配され、ひどく憂鬱な日々を送ったが、最近は心身共に安定し始めている。そんな中、奴は今精神的絶不調の極地に陥っている。佳境が訪れている。
彼は小中としばしばいじめに遭ったという。主に言葉による暴力だったが、未だに言われたことを頭に刻み込んで、そして、その言葉に苦しみ続けている。友達を作ろうという過剰適応も虚しく、辛い学生生活を送り、一時は不登校になった。家庭でも不幸が起きる。母親を自死で亡くすのである。学校での不適応と心の拠り所であったであろう母親の死。これほどの不幸が重なって、何故平然としていられるだろうか。今でもトラウマから逃れられずにいる。父親は半ネグレクトのような状態で、面倒なんか殆ど見てくれない。母親の録画番組を即座に消してしまった弟とは、真意をはかりかね、仲もよくない。
そんな彼は、通信高に通いつつも、バイトや劇団に所属しある程度のトラウマと孤独感を掻き消してきた。けれども、どうしても過去の不適応が、今後の対人関係能力に影響を与える。どうしても、人と分かり合えないのだ。
引きこもり支援も頓挫して、バイトの日数も減らして、やることのなくなった彼は、今暗い部屋でいつも死にたがっている。たまに、掃除したり色々手伝ってはやるが、どうも死にたい気持ちは治らない。

しかし、私はどうも分かってしまうのだ。彼がどうしたら良くなるかを。行動的で野心に溢れる彼は、劇団をやりたいと言っている。だから、まずはそれを作る手伝いをするべきなのだ。心身ボロボロで、余力も無い彼に、僕は生きる希望、居場所を与える手伝いをするしかない。まずは、それが一つ。
もう一つは、愛だろう。愛に飢えている。母親のいない彼に、一体誰が愛を与えようか。僕は彼を慰めたり助言を与えられても、愛を与えることはできない。なぜなら、奴は同性だからだ。そして、彼自信も、同性の俺から愛が貰えないことは知っている。現に、僕とたまには通話するが、もう一人の女の子にばかり通話したり、ラインしていることが分かっている。奴は、慰められたいのだ。けれども、相手からは煙たがられてばかり。ともかく、奴には異性的な愛無くして、もうやっていけないのだ。昔は愛無くして生きていけただろうが、もう時期が違うのだ。お互い愛し合えるような関係を、傷の舐め合いができる存在を、彼は欲しているのである。
僕はそれを哀れみの目で見るしかない。僕は、君のやりたいことを手伝うことはできるが、愛することはできない。俺がまさしく女の子だとしたら、また違ったかもしれないが。俺は正直よしよしすることも、抱きしめることもできないのだよ。嗚呼かわいそうに。辛い思いをしてきたなら、それを慰めてくれる聖母がいればいいと思う。しかし、現実は非情だ。