陰鬱

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家族

僕は家族に大した執着も、愛着もない。兄とは昔はよく喧嘩したり、一緒にゲームしたりする仲だったけど、やっぱり5歳も歳が離れているから、段々と心の距離は離れていくみたいだ。そうして彼が大学に入って下宿して以降、完全に関係は切れたと言っていいほど、お互いよそよそしくなった。なんというか、昔から僕はふざけるのが好きで、勉学だとか冷静さとか、そういったものから無縁な人間だったから、何事もそこそこに上手くこなす冷静沈着な彼には僕が酷く奇異に映ったらしい。それに、僕が学校でのいじめや人間関係で家の中で泣いたり、ウジウジしていると、嫌味を言ってくる。だから、僕は兄が嫌いだし、兄が尿路結石で入院しようが、旭川に転居しようが、どうでもよかった。

父親は特に一番嫌いだった。それなのに、僕は父親と身体的にも性格的にも色濃く受け継いでいるから、嫌になってしまう。兄も言っていたように、僕は父親のようにだけはならないよう、反面教師にしようとした。自己愛とプライドが強いのは親譲りだが、なるべく柔軟な思考だけは育てていきたいと思った。要するに、頑固に自分の意見を変えない人間にはなりたくないと。どんなに自分と合わない意見や価値観であろうと、全て受け入れてこそ、真に好かれる人間になれるのではないかと、そう思った。

父親は、癇癪持ちですぐ怒鳴るし、怒っていない日はない。煽り運転だとか店にクレームをするのもしょっちゅうやっている。とにかく差別主義者で職場の障害者のことを馬鹿にするし、家事労働しかしてこなかった母親も馬鹿にする。テレビに出てる人のことも馬鹿にするし、俺が強迫性障害やチックで悩んでいた時も、その行動や仕草を馬鹿にした。そんな人間に、僕の不登校だとかコンプレックスだとか、そんなものは理解してくれない。すぐ怒鳴るから、僕は神経症になってしまった。

ただ、母親だけは僕の味方だった。もちろん、学校に行け行けと言う人だったから、小さい頃は僕の敵だったかもしれないが、結局僕の病気だとか、悩みだとか、そういったものに献身的に向かい合ってくれたのは母親だった。だから、僕は家族なんかどうでもいいと思うが、母親という唯一の良心がいるおかげで、僕は家族を反故にできない。

ただ、家族さえいなければ、或いは家族が限りなくクソに近ければ、僕は全てを捨てて、君に尽くせるだろうに。やはり、家族が僕の自立や自己選択を縛り上げるのである。しかし、僕は親のお金で大学院に行かせてもらう訳だから、経済的援助を止められては困る。結局僕はただの赤子であり、全てを君に尽くせる段階でもないことが悲しくて仕方ない。本当は何もかも捧げたい。でも、やはり僕のケチは母譲りで、母は今僕の通帳を管理している。最近僕が金について煩くなったと、ぐちぐち言ってくるのだ。

いつか君に全てを捧げられる、そんな日を夢見て、僕は未だに家族に屈するしかない。薬を送って何か問題になろうと僕はどうでもいいし、金銭的援助をするのも別に構わない。僕は最低限のお金があれば構わない人間だからだ。それでも、母親を含む家族に迷惑をかけると思うと、どうも僕は小さくなってしまう。